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枯れゆくものを愛でる

miinakanon

更新日:2 日前




新鮮さ、フレッシュな物事、大好きです。

お野菜も新鮮な方がいい。美味しいだけでなく、エネルギーが高いから元気になれます。買ったばかりの文房具を使うとウキウキするし、洗いたてのシーツはとても心地よいです。フレッシュな新卒社員は初々しくて素敵ですし、新しい習い事を始めた時の高揚感、新しい家族が増えた時の幸せ。まだまだ沢山あります。


私はしばらく、新しいものばかり追いかけていた気がします。古くなったら心地よさを感じられず、手放してしまうのです。マンネリとか、そういうのは好きではなかったと思います。


私はお花が大好きで、三年前にお花屋さんで働きたい!と思い、探していた時期があります。家から徒歩15分位にセンスの良い花屋があり、そこで初めてサブスクというものに申し込みました。


専用の花瓶を購入し、月々一定料金を支払うと、何度でもお花をもらいに行けるのです。花瓶の口はとても小さくて、お花1本、葉っぱ1本でほぼ満杯です。花瓶のボディはころんと丸みを帯びていて、ガラス製のいい色合いとデザインで、どこに置いても映える感じ。意外と水も沢山入ります。おそらく折れてしまって売り物にならないお花や葉っぱを商品化するために始めたのでしょう。


月1回取りに行けば元が取れると謳われていたところ、私は近所でしたし、その花屋の横を通ってアルバイト先へ通っていたため、週に3回位は通っていたと思います。


また、長沼町の花農家さんでフルタイムのアルバイトを始めました。想像を絶する大変さで(笑)どんなに頑張っても農家さんの期待に応えられないと判断し、なんと人生最短、わずか1週間で辞職しました。働き続けられない事情と素直な感謝の気持ちを手書きでしたため、担当者の方にお渡ししたら、帰りがけに社長さんが「ちょっと待ってて」と。なんとビニールハウスの脇に自生していたアスパラを取りに行き、持たせてくれました。そのお気持ちが本当に嬉しかったので、その後しばらくの間は、時々顔を出して、アルバイトさんの休憩に食べられそうなおやつを差し入れしました。


私にとっては人間関係も穏やかで、働きやすい職場でした。が、へっぴり腰の私には到底務まるような仕事ではなく、地道で体がしんどくて、粘り強さの必要な仕事でした。華やかなお花屋さん、いけばな、結婚式やお祝い事のイメージがあるお花。それを作っている生産者さんってこんなに大変なんだと、身をもって知ることとなりました。


お花は昔から好きでしたが、このサブスクと花農家さんとの出会いをきっかけに、私の暮らしの中には度々お花が佇むようになり、今では小さな一部屋なのに、花瓶が2、3個、いつも可愛くて元気なお花たちでいっぱいです。お花のある暮らしがすっかり日常になりました。


そんな中、少し前にふと気付いたのです。いつもは枯れたらすぐに捨てていたのですが、その枯れゆくさまが、なんとも美しいのです。


ピンと空に向かって咲いていた花びらの縁の色が少しずつ変わって、少しずつしわしわになり、恥ずかしげに、しとやかに、うつむいたりしていきます。その変化が、なんとも言えず可愛くて、愛おしくてたまらない。


ああ、このお花ももう少しでイノチ尽きるのだな、素敵な人生、いやお花としての素敵な生き様だったのだろうか。思う存分に輝きを放ち、生を全うしていく貴方に、私はどれだけ元気と勇気をいただいたのだろう。ありがとう、心から。


いつしかそんな心持ちになり、ああ、どんなモノも、人も、現象も、、生まれて、いつしか死んでいく。なんて素晴らしいのだろう。ああ、もし神様が全てをお造りになったのだとしたら、貴方はなんて素晴らしい仕組みをつくってくださったのだろう。イノチは新しくても古くても全く関係なく、等しく”イノチ”なのだ。全ての行程が、美しく、こんなにも人の心を癒し、慈しみ、輝いている。枯れゆく貴方と、もうしばらく一緒に居させてほしい。貴方のイノチを感じていたい。


だから最近は、お花をいつ処分していいのか、ちょっと迷います。でも不思議と、なんかわかるようになりました。あ、もういいんだなって。お疲れ様、ありがとう、そう心の中で話しかけて、割とアッサリとゴミ箱に捨てます。


そういえば、気付いたら白髪を隠さなくなりました。今までは黒いヘアバンドやターバンを巻いていて、それは後毛を押し込めるのと、セットしないボサボサヘアーを隠すのと、そして白髪を隠すためだったかと思います。


少し前うっかりヘアバンドが外れて、子供に「歳取ってるね」と言われた時、「歳を取るって素敵なことよ」と答えた私。先日ヘアバンドをするのをやめたら、別の子供に「白いー!」と指摘され「素敵でしょ」と応えていました。調子に乗って、エルサみたいでしょと言うと、エルサじゃないと言われました。子供って本当に正直で、本質をついていて、大好きです。子供たちはフレッシュそのもの。新しいものも、古いものも、全てが素敵です。

 
 
 

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